首都高速道路フォントってやっぱかっけー

  • 前回 「公共施設の標識に使われているゴシック系フォントというのは、どこか澄ましていて、妙にそそるところがあるような。特に首都高の標識フォント(ゴナDB体というらしい)やUSのインターステートの標識フォントがお気にいり。」と書いたのだけど、この首都高フォントが「高速道路の文字を再現しよう計画」で開発されてました。フォントの正式名称はGD-高速道路ゴシックJA-OTF。しかもOpenTypeフォント!-プロジェクトの中の人は神です。
  • 高速道路標識の写真収集→有志による開発というパスをたどっているようで、作業掲示板では以下のようなやりとりが山ほどあって、活発に作業されています。これは萌えるw
  • 「浜」という字の「丘」の部分ですが、真ん中の横棒はもう少し上ではないでしょうか?修正をお願いしたいです。
  • 最後は美山跨道橋です。「跨」が既に作成されているものと少し違うようなので、参考までに。
  • 現在1300字程度できているらしく、フォントはプロジェクトのページからダウンロードできます。非商用はフリー、商用利用も可らしくアニメ版湾岸ミッドナイトで採用されているとか。
  • さっそく高速道路ゴシックJA-OTFをインストールして、調子にのった高速道路の道路標識を作ってみましたが、すごく本物っぽい・・・(くない?) そしてなんと今日(7/31)の22時からフォント作成の生中継があるそうです。しかも「チャットルームで生リクエスト受け付けます」だそうです。たぶん好きな文字作ってくれるんです!こんな機会もう一生ないかも!!檸檬とか顰蹙とか頼むしかねぇw

佐藤修悦作・新宿駅のガムテープ標識

  • 公共施設の標識に使われているゴシック系フォントというのは、どこか澄ましていて、妙にそそるところがあるような。特に首都高の標識フォント(ゴナDB体というらしい)やUSのインターステートの標識フォントがお気にいり。
  • 交通標識のデザインは統一されていることが最重要らしく、例えば出口標識は、「鉄道などの交通システムの場合、出口に関する案内サインは黄色地に黒字で表示することが業界内の申し合わせで統一されています。」なのだそうです。だから都市交通に慣れた人間の目は外に出たくなったら黄色を探す、という行動を無意識にとります。字体も視認性の高いゴシック系が採用されています。
  • エヴァンゲリオンでは市川昆へのオマージュとしてタイトルのタイポグラフィにも極太明朝を使っていましたが、地下鉄標識もそれに合わせて明朝に統一されていました。ゴシック系の交通標識に慣らされた目を持つ人にとっては、明朝体の標識は不自然な違和感があって、それが異世界感とか近未来感の演出になっていたのでしょう。そんなわけで標識フォント好きとして、僕はエヴァで交通標識が出てくるとそればっかり見てました。見てないけど。
  • 本題の工事中の新宿駅東口構内のガムテープで作られた道案内ですが、これはもう標識フォント好きとしては見逃せないです。ベルセルク風にいえば「それは標識というにはあまりにも大きすぎた。大きく、太く、黒く、そしてインパクトがありすぎた。それはまさに字の塊だった。」てな感じですよ。清楚で控え目なゴシックの正式標識をあざわらうかのように、圧倒的な存在感のガムテープ標識が、あっちは総武線、こっちは中央線、と地下コンコースを仕切りまくり。あまりの怪しさに、JR新宿駅が革命を起こして作った闇総武線かよ、と少し思った。思わないけど。


  • で、筋金入りのフォント好きさんがこんなドキュメンタリー映像を・・・

2003年から始まった新宿駅構内切り替えし工事。それに伴って駅の至る所にガムテー プによるユニークな道案内が出現した。一体誰が、どのように製作しているものなのか?
本動画はその謎に迫った2004年製作の映像です。



  • 佐藤修悦さんという方の作品(と呼びたい)で、名づけて修悦体だそうです。ドキュメンタリー作成はトリオフォーという団体です。すっげえ。ですね。佐藤さんも、トリオフォーも。You tubeで、日本人のつくった著作権侵害してない意味のある映像って初めて見た。佐藤さんの作品は、今はJR日暮里駅で見れるそうです。

ベルセルク (31) (Jets comics (267))

ベルセルク (31) (Jets comics (267))

NEON GENESIS EVANGELION DVD-BOX ’07 EDITION

NEON GENESIS EVANGELION DVD-BOX ’07 EDITION

ミートホープより通信会社のほうがタチが悪い

  • 今出張でとある国際会議にきてるんだけど、セッションの最中に韓国の人達がみんなブラウザ上の携帯電話っぽいインターフェースでなんかメールをむにむに打っている。たぶん携帯メールをweb上で仮想化するサービスがあるんでしょう。
  • 携帯メールをクリティカルな連絡手段として利用する人はかなり多いので、海外の長期出張中にわりと重要な携帯メールが来てると、帰ってからあちゃーと思うしかない。この発展した世の中に、日本の携帯のなんとういう不便さなんだろう。。。などと一人で怒っていたら、NTT communicationsからこんなお知らせが来たことを思い出した。ざっくり言うとこんな感じ。

技術革新のおかげで、マンション型フレッツでもファミリータイプ(一戸建て用)と同じくらいの通信帯域が確保できるようになりました。それじゃファミリータイプの人たちに悪いから、値上げしますね。今後も躍進する設備投資道を邁進いたしますのでよろしくどうぞ。

  • いやーいくらツッコミビリティの高い俺でも、どこからどうつっこんだらいいか悩むぐらいハイクオリティなお手紙ですよ。技術革新のおかげで帯域増やせたんですよね? *1 VSDLを交換したからじゃないですよね? ならファミリータイプのほうを値下げするのが筋ってもんでしょう。これってただの値上げですよね?あなたがいう今後の設備投資ってNGNのことすかね。まじどうぞご勝手にって感じですよ。
  • いや、値上げは別にいいんですよ。物価というものは上がるものだし、一生日本の物価があがらなかったらそれはそれで悲惨な未来でしょう。ただ、わけのわからない論理で人をだまくらかそうというその精神が気に食わない。
  • で、怒りの矛先は脈絡もなくdocomoに飛びますが、携帯電話の料金プランなんて、線形計画法でも使わないと決めらんないですよ。過去の支払履歴がwebサービスかなんかで取得できるなら、ほんと毎日でも解いてやりたい。そして毎月最適プランを決定するiアプリでも書いてやりたい。たぶんすっげー安くなるし、それだけで営業利益の額もかなりかわるんだろうな。
  • そういう情報制約に基づいたシステムであげた利益を前提とした経営なんて、技術を標榜する会社として貧しい。世間を知らない青臭い意見だって?ほっとけ。技術者が青臭くて何が悪い。素人を手玉にとって利益伸ばす。技術革新てそういうことじゃないでしょう?これまでできなかったことができるようになるってことでしょう?
  • 最近ミートホープ社のコロッケ騒動が話題になってましたが、アレは別に騒ぐほどのことじゃない。単価何十円で投げ売りしてる加工食品が牛肉100%だろうがそうでなかろうがどうだっていいですよ。毒が入ってるんなら別だけどな。そういう価格帯の商品はそういうクオリティであることがコミコミなわけで。暗黙知でしょうそんなの。第一まずいでしょうあんなコロッケ。なんでまずいコロッケのことであんなに騒ぐんだろう。
  • 理解できるから突っ込む。わかりやすいほうに突っ込む。多分それだけのことなんだろうな。でも電話業界がやってることのほうがよっぽどタチが悪い。サービスが全然顧客のほうを向いてないからね。技術でいくらでも高められる利便性を無視して、売上を上げるか、客単価をあげるか。をスタート地点にサービスを開発してる。
  • つーことで、なんとなく思いつく通信への要望。たのむねNTTグループの中の人。ドコモ2.0とかゆってないでさ。
    • web上に仮想化された携帯メール: 携帯のほうに通信料課金してもいいからさ
    • 音声通話のVoIPでの仮想化: 固定や携帯の番号で課金してもいいからさ
    • 電話番号の仮想化: 自分が管理している複数の電話番号は一つに仮想化して、どっからどれでも受けれるようにしてよ
    • ワンタイム電話番号: 本人確認で電話を認証してくる業者用にね
    • フリー電話番号: あやしいサービス提供者が電話番号を要求してくる場合にね
    • 携帯電話と電話番号の切り離し: 海外ではふつーだよな
    • カメラがついてない携帯電話: らくらくホンしかカメラ無し機種が存在しないしないって、どう考えても異常だろ
    • メールや電話帳のサーバでのバックアップ保管: 毎月一万円近く払ってるんだからそれくらい頼むよ

*1:ほんとに増えてるのかしらないけど。

脳からgoogleまでの距離

たとえばこんな疑問があったとしよう

  • これだれが歌ったなんて歌?

♪... Breezyな空気が喜びを運ぶ...

  • こんな堂々巡りの議論をオレンジ会談と呼ぶって本当?

女子A あたしぃ〜 オレンジが好き!
女子B え〜 あたしぃ〜 オレンジよりりんごが好き!だって匂いがいいし!
女子A え〜でもあたしぃ〜 りんごって皮むかなきゃいけないし〜 オレンジのほうがよくない?
女子B え〜でもオレンジってすっぱいし〜 やっぱオレンジのほうがいくね?
女子A いややっぱあたし〜 (以下略)

  • これは誰のセリフ?

君が何を食べているかをいいたまえ、私は君が何ものかいいあてよう」

  • どの疑問もgoogle(等)がなかったら、なかなか解ける問題ではない。一番目の疑問を解くにはHMVにでも出かけて店員の前で恥ずかしい思いをして歌うしかない。歌ったところで答えが得られる可能性もかなり低い。二番目の疑問は周りの人に聞きまわって、「ああ知ってるよ」とか「そんな言葉聞いたこともない」と証 言を得るしかない。周りが知っているればいいけれど、知らなかった場合、聞いた相手が「たまたまその言葉を知らないだけ」かもしれない。三番目は、どうやって調べたらいいか検討もつかない。つかないからこそクイズ番組に意味があった。
  • 人類が生まれてからgoogleが出てくるまでの長い期間、人類の知識は地球ぐらいの大きさの空間にぐちゃぐちゃに詰め込まれていて、そのほとんどは脳みそが把握しているディレクトリ構造を下に辿る以外 の方法ではアクセスできなかった。つまり、「君は何をたべているか・・・」ってだれのセリフだっけ・・・?、という疑問は、蔵書全めくりするか、村の長老が運良く知ってればわかるかも、というレベルなわけです。
  • それがある数年間を境に一気に逆方向の検索ができることになった。計算機もストレージも通信帯域も 安くなったことだし、今日からはカリフォルニアのマウンテンビューのオリンピックカラーのキャンパスにおいてある数千台のサーバが、ただでスケーラブルなハッシュ構造を提供しますよこんにちはこんにちは!てな感じで。
  • さてこのエントリはやっぱgoogleすげーぜありがとう!とかそういうことをいいたいわけではなくて、 googleを使いはじめたころは、googleを通じてこういう手がかりの乏しい情報を得るのがすげぇ下手くそだったなぁということを思い出したから書いているのです。実際の話、googleに物を尋ねるには、検索に必要十分な語を記憶すればよいだけなのだけれど、疑問発生→検索語の脳内フック→検索、という脳と手の連携フローがスムーズに稼動するまでに3年位かかったよ。
  • 20年ちかく記憶・記録することと 、それらへのアクセス手段の担保は自分以外に頼れなかったのに、それをある日を境にほとんど自分で やらなくてよいし、あなたが確保するパスよりもはるかに自由度の高いアクセスを提供しますよ、とい われても、そうそう使いこなせるわけもなく。。
  • 2007年ぐらいにもの心ついた少年少女は、考えるよりも先にgoogleが使える世界に生まれたわけです。 こういう話になると新しい技術が教育に与える影響を必要以上に警戒する人がいる。携帯がコミュニケーションを破壊する、とかね。使い道の選択に情報技術そのものは中立だ、と僕は思っている。
  • ただ、考えるよりも先にgoogleが使える世界に生まれた彼らは、情報や知識資源の活用効率、というか、外部情報の活用を意識的に実行する労力、という点において、なんか違う生き物になるんじゃないかって気が する。レポートをwikipediaのコピペで構成するなんてけしからん、とかそういうどうでもいいレベルの話じゃなくて、疑問を発想に変換するフローとか、脳内への知識の蓄積法とか、そういう脳のOSレベルの話で。良くも悪くも。平成生まれの人と早くコラボってみたい。
  • 答:一番目はHome made 家族の"Joy Ride"。二番目はウソ。google("オレンジ会談")=一件。この言葉をどっかで覚えてきたのか脳内妄想なのか判別つかなくて困った。三番目はフランスの元祖料理研究家ブリア・サヴァラン『美味礼賛』が出展。

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美味礼讃 (上) (岩波文庫 赤 524-1)

美味礼讃 (上) (岩波文庫 赤 524-1)

もう行きたくても行けないカフェ(ガケップチ・カッフェー)

  • カフェネタ第三弾。もう行きたくてもいけないカフェ、といっても、実在のカフェではなくて、ガケップチ・カッフェー、という漫画のことです。もう15年くらいまえにモーニングで連載してました。
  • この作品には元ネタがあって、バグダッド・カフェという映画好きには有名なドイツ映画です(正確には80年代の映画なので西ドイツ映画)。人生の落後者みたいな人ばかりが滞在している潰れかけの砂漠のモーテルが、ひょっこりやってくる一人の女性を中心にして再生する... あらすじだけ書くと、どってことないような感じですが、随所に挿入されるジェヴェッタ・スティールの歌う主題歌"Calling you"と荒野にたたずむモーテルの寂寞とした風景のマッチングがこれでもかとセンチメンタルに胸を締め上げます。小憎たらしいくらいさばさばとした美しさがあって、見るべき映画の一つだと思います。映画マニアきどりでBOX中野にわざわざリバイバル上映を見に行きましたよ俺は。
  • と、バグダッド・カフェだけでごはん三杯くらい軽く行けそうな脳内勢いなんすが。それはおいといて。ガケップチ・カッフェーの舞台は砂漠ではなくてガケップチに営業する崩落間近なドライブイン。それを切り盛りする若いねーちゃんと、そこにひょっこり現れた世を儚む男の、ま、一種のラブコメです。ガケップチで営業する倒産寸前・古色蒼然のドライブインってだけで、ちょっと萌える設定ですが、舞台設定だけでなく、男と女のかけ合いというか、自己中女に振り回されっぱなしの男の甲斐性なさっぷりが愉快でした。
  • 作者は大前田りんという女性で、前田由美子というペンネームで少女漫画も描いていたようです。バグダッド・カフェ本歌取りであるのは明らかなのにもかかわらず、この印象の強い天下の名作に引きずられずに、抜くとこ抜いて、オリジナリティを出していたというのが、すごい。バグダッドのパクリじゃん、という評価にはあたりません。
  • さてガケップチ・カッフェーは、一巻が出版され、その後5話分がモーニング本誌に掲載されたた時点で残念なことに作者の急病で連載がストップし、なしのつぶて。出版された一巻もすでに絶版です。ガケップチっぷりを地でいってしまったわけですが、単行本に収録されなかった5話分が読みたくて読みたくて・・・、データでどっかに掲載されているんではあるまいかとふと思い立って調べてみたら、404 NotFound にありましたよ未掲載分!! よっしゃー買ったる!!と、うかれたのもつかのま、2006年10月でサービス終了・・・ 気づけよ半年前の俺。。。と悔やむばかり。
  • 現役で活動してない作家の権利関係がやっかいなのはわかります。復刊してもさほどうれないだろうこともわかります。が、こないだまで行けたのに、もう行きたくても行けない、というのはさみしすぎるのです。あの名カフェに。
  • Calling youはこっから視聴できます

http://www.amazon.co.jp/Blame-Youth-Holly-Cole-Trio/dp/B000002UZE

  • 復刊希望は

『ガケップチ・カッフェー(大前田りん)』 投票ページ | 絶版・レア本を皆さまの投票で復刻 復刊ドットコム

  • 絵はこことか。

screenshot

  • 元ネタはこちら

ガケップチ・カッフェー 1 (モーニングKC)

ガケップチ・カッフェー 1 (モーニングKC)

バグダッド・カフェ 完全版 [DVD]

バグダッド・カフェ 完全版 [DVD]

小野不由美の屍鬼

  • 小野不由美の「屍鬼」を読む。文庫にして全五冊ある大長編。封建的で閉鎖的な人間関係で結束した外場村(卒塔婆から来ている)に蔓延する奇病をめぐり、寺の若御院と病院の若院長と村の若者が・・・と、これ以上はかけませんw 以下ネタバレなしなので安心して読んでください。
  • 登場人物の数はおそらく100を超える。外場村を旧来から牛耳る、寺・病院・兼政(村長を継ぐ家の屋号)の三権力と、主要十家族の視点から、奇病に揺れる閉鎖された一つの小世界をそっくり描写している。あんまりに登場人物が多く、しかも家族関係が複雑だったり、同姓の家が複数出てきたりして混乱するので、家系図を作りながら読んだ。最後に参考のために乗せておく(でも間違ってるかも。特に安森家)。
  • この小説はスティーブン・キングの「呪われた町」へのオマージュ(文庫版解説に詳しい)とあるが、僕はむしろキングの「ザ・スタンド」と比較しながら読んだ。両者とも奇病物大長編(ザ・スタンドも文庫版で5冊)という意味で一致しているが、文章の流れ方は全く対照的だ。「ザ・スタンド」はテンポよく、ドライブ感が強く、エピソードは程よくシリアライズされ、世界はどんどん拡散してゆく。一方「屍鬼」では、類似した事件が、繰り返し繰り返しいろんな人間の視点からパラレルに書き直される。謎の解明は遅々として進まず、ドライブ感とは程遠いが、ぼんやりした小世界はどんどんひとつの像に凝結し、気がついた時にはどっぷり謎の深みにはまっているのである。
  • これだけ多くの人物が登場するにも関わらず、小説は単純すぎであら筋も書けない。正直言って、登場人物を減らせば、50ページ位の短編として書くことすらできると思う。とはいえ、短編としてこの小説を読んでも面白くもなんともないだろう。その良さは、エピソード間にびっしりと巡り合う人間関係の描写の執拗さと、そのじれったさにあるのだから。もちろんそれぞれの登場人物のキャラクターが魅力的だからこそ、そのじれったさを我慢して味わうことができるのである。映画でいえば、マグノリアとか、ショートカッツとか、そういうのが好きな人は気にいるのでは。

屍鬼(一) (新潮文庫)

屍鬼(一) (新潮文庫)

ザ・スタンド(上)

ザ・スタンド(上)

呪われた町(上) (集英社文庫)

呪われた町(上) (集英社文庫)

  • 以下は主要な登場人物である(☆は主要な登場人物)。
    • 室井信明 御院
    • 室井美和子 信明の妻、旧姓山村
    • 室井静信☆ 若御院、信明の息子
    • 光男 寺につくす下男?
    • 鶴見 住職
    • 池辺 住職
  • 病院
    • 尾崎秀司 尾崎医院の先代医師(故人)
    • 尾崎孝江 秀司の妻
    • 尾崎敏夫☆ 尾崎医院院長
    • 尾崎恭子 敏夫の妻
    • 律子 看護婦
    • 永田清美 看護婦
    • 橋口やすよ 看護婦
    • 汐見雪 看護婦
    • 高野藤代 パート
    • 関口ミキ パート
    • 武藤 事務長(→武藤家参照)
    • 十和田 事務員(?)
    • 井崎聡子 (?)
  • 山入の集落3世帯
    • 後藤田家
      • 後藤田ふき 先代の娘
      • 後藤田秀司 ふきの息子
    • 村迫家
      • 村迫秀正 先代の息子
      • 村迫三重子 秀正の妻
    • 大川義五郎 (→大川家参照)
  • 結城・小出家
    • 結城 工房経営
    • 小出梓 結城の妻(籍が入っていないので別姓)
    • 結城夏野☆ 結城の息子、高校生、武藤徹の友人
  • 広沢家
    • 広沢 中学教師、中外場弔組
    • 広沢麻由美 広沢の妻?(別の広沢家かも)、スーパーのレジ打ち、旧姓大川(下外場)
  • 武藤家
    • 武藤 尾崎医院の事務長
    • 武藤徹☆ 武藤の息子、結城夏野の友人で二級上、村外で勤めている
    • 武藤保 武藤の息子
    • 武藤葵 娘?
  • 村迫米穀店
    • 村迫 米穀店店主
    • 村迫正雄☆ 村迫の息子、武藤保と同級
    • 村迫家には正雄の下に娘と息子あり
  • 田中家
    • 田中 不明
    • 田中佐知子 田中の妻
    • 田中かおり☆ 田中の娘、清水恵の一つ上
    • 田中明☆ 田中の息子
  • 清水家
    • 清水徳郎 清水の実父
    • 清水 JA外場勤務
    • 清水寛子 清水の妻
    • 清水恵☆ 清水の娘、中学三年、結城夏野と同級
  • 田代書店
    • 田代正紀 田代書店店主
    • 田代留美 正紀の妻
  • 長谷川家 (バーcreole)
    • 長谷川 バーの店主
    • 長谷川清美 長谷川の妻
    • 三上 バーのスタッフ
  • 兼政
    • 竹村吾平 旧外場村村長(個人)
  • 竹村文房具店とそのまわりに集まる人たち
    • 竹村タツ 文房具店店主、夫は戦死
    • 佐藤笈太郎 
    • 大塚弥栄子
    • 広沢武子
    • 伊藤郁美(伊藤家参照)
  • 伊藤家
    • 伊藤郁美 占い師?
    • 伊藤玉恵 郁美の娘
  • 安森家 丸安製材と安森工業がまざって関係がよくわからない。間違っている可能性あり。とにかう二世帯ある。
    • 安森工業
      • 安森義一 病床
      • 安森厚子 義一の妻?
      • 安森徳次郎 安森工業(工務店)経営、製材所の分家、檀家総代、門前弔組世話役
      • 安森節子 徳次郎の妻
      • 安森淳子 安森家に嫁ぐ、
      • そのほか、徳次郎の弟と娘婿あり
    • 丸安製材
      • 安森幹康 工務店長男 
      • 安森奈緒 安森家に嫁ぐ、幹安の妻
      • 安森進 幹康の息子
  • 桐敷家 くわしく書けません・・・
    • 桐敷正志朗☆
    • 桐敷沙子☆
    • 辰巳☆
    • 千鶴☆
  • 大塚家 材木店
    • 大塚康幸
  • 前田家
    • 前田 JA勤務
    • 前田元子 前田の妻
    • 前田志保梨 前田の娘
    • 前田茂樹 前田の息子
  • 矢野家
    • 矢野妙 加奈美の母、後藤田ふきと懇意
    • 矢野加奈美 ドライブインちぐさ店主
    • 田中佐知子 ちぐさでバイト?
  • 図書館
    • 柚木 司書
  • 大川家
    • 大川富雄 大川酒店の店主、山入の大川儀五郎の甥
    • 大川浪江 富雄の妻
    • 大川篤 大川の息子
    • 大川豊 大川の息子
    • 大川瑞恵 大川の娘
  • 田茂家
    • 田茂  村の三役
  • 上外場の田茂家 スーパー。上の田茂家と同じ家かどうかわからず。
    • 田茂定次
    • 田茂聡美
    • 田茂悠子 田茂の娘
  • 役所
    • 石田 役所の保険係、死亡届受理などをする
    • 田中吉和 役所の人間
  • 高見 巡査

死ぬまでにもう一度訪ねたいカフェ

  • ヨルダンの南のほうにペトラと呼ばれる遺跡がある。いまここに魔法の絨毯があって、お茶でもいかがですか、ご主人さま、というならば、迷わずペトラでお茶しよう、というに違いない。
  • ヨルダンの首都アンマンから南端のアカバまでを南北に貫く国道沿い*1を、死海を西に見て、しばらく南下し、東にそれた場所にペトラがある。国道沿いは延々と礫砂漠が広がっているのみだが、ペトラ付近は巨大な岩山がダイナミックに連なっている。
  • ペトラ遺跡の入口は、垂直に切り立つ絶壁に挟まれたごく細い通路である。通路というよりは、非常に大きな岩盤のなかにこっそり穿たれた亀裂をくねくね辿るような感じだ。横の見通しがまったく効かない中を、ラクダとともに空を見上げながら20分程歩くと、絶壁は唐突に開け、正面の絶壁に彫りこまれた高さ40mの巨大な神殿に遭遇するという仕掛けである。まるでファンタジーの世界だ。
  • ペトラ遺跡は、遺跡の造作が優れているだけでなく、ピンクやオレンジがかった岩肌が日の光の色によって雰囲気を変える様子や、白い絵の具を流したような斑紋が美しい。あっちの神殿、こっちの岩山、と歩きまわるのは、遺跡見学というよりはトレッキングに近い。そんな中の一つの山の中腹に、ぽっかりと半球上の空洞が空き、そこでひっそりとカフェが営まれている。
  • 店主は白髪に白鬚をたくわえたベドウィンの爺さん。アラファト議長のように赤いチェックの布を頭に巻き、黒いバンドを嵌めている。ベドウィン男の風貌は、じっと客が来るのを待っているだけなのだろうが、なぜか険しく、いちいち孤高で思慮深げに見える。店の設備と言えば、小さな椅子数脚と小さなかまどのみであり、せりでた岩盤が屋根代わりだ。
  • 爺さんは客が来るたびに、かまどで火をおこし、小さな鍋で紅茶を煮出し、ザラメといっしょに小さな器に渋い紅茶をいれくれる。爺さんは笑顔一つ見せず、孤高の表情を保ったままだが、日陰が涼しく、向かいに見える神殿を借景に、この粗末なカフェで飲む渋い紅茶は、トレッキングで疲れた体をとても癒してくれる。
  • 世界には、酒を飲まない人たちや、大麻を吸わない人たちや、肉を食べない人たちは多いし、習慣や思想は文化や宗教に応じて]多様だけれど、お茶を供する心は世界で共有される数少ない客に対する心使いのように思う。それは、フランスのカプチーノも、イタリアのエスプレッソも、インドのチャイも、中国のジャスミンティーも、アメリカのドリップも、日本の煎茶も、ペトラで沸かした紅茶も、根本的に同じだと思うわけです。ファミレスのドリンクバーとかは、安いけれど、心づかいとしては最低です。
  • イスラムの人たちというのは、日本人とは文化的バックグラウンドがあまりに違うという事情もあって、主に感情や習慣の面で、直線的な共感を持つに至らないことが多いように思うのだけれど、このペトラのミニマルながらも豪華なカフェは、サービスにおいて僕が求める理想のカフェでした。
  • ペトラに行くには、モスクワやドバイで飛行機を乗り継ぎ、アンマンに入り、そこから車で一日がかり。気軽に行ける場所ではありません。僕が魔法の絨毯に乗ってペトラのカフェに行きたいと思うのは、そういう理由からです。

(id:nelboneさんのhttp://d.hatena.ne.jp/nelbone/20070319に影響を受けて書きました。トビハネのマンゴーツリーレストラン - トビハネインディアンの飛び道具シリーズ第二弾でもあります。)

*1:この国道から東に向かうとイラクに着く。ボランティアの人たちがイラクに向かうのはおおむねこのルートらしく、テレビでもよくその分岐点が放映されていた。