もう行きたくても行けないカフェ(ガケップチ・カッフェー)
- カフェネタ第三弾。もう行きたくてもいけないカフェ、といっても、実在のカフェではなくて、ガケップチ・カッフェー、という漫画のことです。もう15年くらいまえにモーニングで連載してました。
- この作品には元ネタがあって、バグダッド・カフェという映画好きには有名なドイツ映画です(正確には80年代の映画なので西ドイツ映画)。人生の落後者みたいな人ばかりが滞在している潰れかけの砂漠のモーテルが、ひょっこりやってくる一人の女性を中心にして再生する... あらすじだけ書くと、どってことないような感じですが、随所に挿入されるジェヴェッタ・スティールの歌う主題歌"Calling you"と荒野にたたずむモーテルの寂寞とした風景のマッチングがこれでもかとセンチメンタルに胸を締め上げます。小憎たらしいくらいさばさばとした美しさがあって、見るべき映画の一つだと思います。映画マニアきどりでBOX中野にわざわざリバイバル上映を見に行きましたよ俺は。
- と、バグダッド・カフェだけでごはん三杯くらい軽く行けそうな脳内勢いなんすが。それはおいといて。ガケップチ・カッフェーの舞台は砂漠ではなくてガケップチに営業する崩落間近なドライブイン。それを切り盛りする若いねーちゃんと、そこにひょっこり現れた世を儚む男の、ま、一種のラブコメです。ガケップチで営業する倒産寸前・古色蒼然のドライブインってだけで、ちょっと萌える設定ですが、舞台設定だけでなく、男と女のかけ合いというか、自己中女に振り回されっぱなしの男の甲斐性なさっぷりが愉快でした。
- 作者は大前田りんという女性で、前田由美子というペンネームで少女漫画も描いていたようです。バグダッド・カフェの本歌取りであるのは明らかなのにもかかわらず、この印象の強い天下の名作に引きずられずに、抜くとこ抜いて、オリジナリティを出していたというのが、すごい。バグダッドのパクリじゃん、という評価にはあたりません。
- さてガケップチ・カッフェーは、一巻が出版され、その後5話分がモーニング本誌に掲載されたた時点で残念なことに作者の急病で連載がストップし、なしのつぶて。出版された一巻もすでに絶版です。ガケップチっぷりを地でいってしまったわけですが、単行本に収録されなかった5話分が読みたくて読みたくて・・・、データでどっかに掲載されているんではあるまいかとふと思い立って調べてみたら、404 NotFound にありましたよ未掲載分!! よっしゃー買ったる!!と、うかれたのもつかのま、2006年10月でサービス終了・・・ 気づけよ半年前の俺。。。と悔やむばかり。
- 現役で活動してない作家の権利関係がやっかいなのはわかります。復刊してもさほどうれないだろうこともわかります。が、こないだまで行けたのに、もう行きたくても行けない、というのはさみしすぎるのです。あの名カフェに。
- カフェネタシリーズは第五段くらいまで続く予定っす
- Calling youはこっから視聴できます
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- 作者: 大前田りん
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