私の頭の中の消しゴム

  • 付き合ったばっかりのカップルは甘く楽しいものだ。特にこの二人のように美しい体と顔を持ち、幸せにイチャイチャと暮らすのだとしたら、どれだけ人生は美しいだろうか。
  • 愛する人が若くして痴呆になる。社会とのかかわりを失う。自分と過ごした記憶を失う。注いだ愛が痴呆によってかき消される。残されたものはこれほど苦しくつらいことに、どうやって耐えればよいのだろうか。この映画は、日常的なカップルのある視点で、おだやかな日常の終焉とその続きを描いている。
  • 主人公は薄れる知性と瞬いては消える記憶の中で、必死に愛する人への記憶を文字につづる。主人公はアルジャーノンのような天才ではないが、まだ若く美しく、にもかかわらず、残された夢は脳の中に放置され、そして消えゆく。
  • あなたには思いもよらないかもしれないけれど、あなたの愛する人は、いつか、かなりの確率で病気で健康を失うか、痴呆で正気を失う。この絶望的な状況は、ありえないほどの悲劇に感じるけれど、日常なのである。そのような老人のカップルは世界中にあたりまえのように生活しているはずだ。かなりの割合で、私は今のところ、そのような状況に耐えて明るく共に生きていく自信はない。
  • 老人に聞きたい。この悲しみにどうやって耐えているのか?そこに、救いのようなものはあるのか?